決算が近づき、思っていたより利益が出そうだと分かると、
「税金で払うくらいなら、何か買って経費にした方がいいのでは?」
「今のうちに経費を増やして、少しでも節税した方がいい?」
と考えることがあるかもしれません。
もちろん、適切な節税対策を考えることは大切です。
ただし、税金を減らすことだけを目的に支出を増やすと、結果として会社に残るお金まで減らしてしまうことがあります。
今回は、「経費を使えば本当に得なのか?」という視点から、節税と手元資金の関係、そして支出を判断するときに確認しておきたいポイントを整理します。
1.経費を使えば、その分だけ税金が減るわけではない
まず押さえておきたいのが、経費と税金の関係です。
「100万円を経費として使えば、税金も100万円減る」というわけではありません。
たとえば仕組みを分かりやすくするために、100万円の支出によって税負担が30万円減るケースを考えてみます。
- 会社から100万円を支出する
- 税負担は30万円減る
- 結果として、差し引き70万円分のお金が会社から出ていく
税金は減っていますが、会社に残るお金も減っていることが分かります。
実際の税額への影響は会社の状況や支出の内容によって異なりますが、大切なのは「経費を使った金額が、そのまま税金から差し引かれるわけではない」ということです。
2.「節税できた」と「手元にお金が残った」は別の話
節税を意識するあまり、
「今年の経費になるから」
「どうせ税金で払うなら」
という理由だけで、本来必要ではなかったものを購入してしまうことがあります。
確かに、その支出によって利益が減り、税負担が軽くなることはあります。
しかし、節税できた金額以上に現金を支出していれば、当然ながら会社の手元資金は減ります。
経営を続けていくうえでは、税金の支払い以外にも、仕入れや給与、家賃、借入金の返済、設備の買い替えなど、さまざまな場面でお金が必要です。
そのため、節税だけを優先して手元資金を減らしてしまうと、本当にお金を使いたいタイミングで動けなくなることもあります。
大切なのは、「どれだけ税金を減らせたか」ではなく、「必要な税金を支払ったあと、会社にどれだけお金を残せるか」という視点です。
3.では、どんな経費なら使ってもいい?
ここまで読むと、「それなら経費はできるだけ使わない方がいいの?」と思われるかもしれません。
もちろん、そういうことではありません。
支出を考えるときの基準にしたいのは、「節税になるか」ではなく「そのお金を使うことで、会社にどんな効果があるか」です。
たとえば、
- 売上や集客につながるもの
広告宣伝や営業活動など - 業務を効率化できるもの
作業時間を減らせるシステムや機器の導入 - 近いうちに必要になるもの
老朽化した備品や設備の更新 - 人材の確保や成長につながるもの
採用活動や社員研修など
こうした支出であれば、会社の将来を考えたうえで検討する意味があります。
考える順番は、
「節税になるから使う」ではなく、
「事業に必要だから使う。その結果として税負担にも影響する」
です。
同じ金額を使うとしても、「税金を減らすためだけの支出」と「今後の売上や業務改善につながる支出」では、会社にとっての意味が大きく異なります。
4.節税を考える前に確認したい3つの数字
「今期は利益が出そうだから、何か対策をしたい」と思ったときは、まず次の3つを確認してみましょう。
① 今期の利益見込み
「売上が好調だから利益も出ているはず」と感覚だけで判断せず、決算までの売上や経費も含めて、今期の利益がどのくらいになりそうかを確認します。
まず利益の見込みが分からなければ、どの程度対策が必要なのかも判断できません。
② 納税額の見込み
次に、このまま決算を迎えた場合、どのくらいの納税が見込まれるのかを確認します。
正確な税額を決算前に確定させる必要はありませんが、ある程度の目安が分かれば、必要な納税資金をあらかじめ確保できます。
③ 支出後に残る手元資金
最後に確認したいのが、今後の支払いを考えても資金に余裕があるかどうかです。
納税だけでなく、給与や仕入れ、借入金の返済、今後予定している設備投資などもあります。
そのため、今ある預金残高だけを見るのではなく、「これから出ていくお金を差し引いても、十分な資金を残せるか」まで確認することが大切です。
つまり、
利益を見る
→ 納税を見込む
→ 手元資金を確認する
→ そのうえで必要な支出を考える
という順番です。
この流れで考えると、「税金を減らすために何か買う」のではなく、会社のお金をどう使うのが今後の経営にとって良いかという視点で判断しやすくなります。
5.まとめ|「税金が減るか」ではなく「必要な支出か」で判断する
利益が出そうだからといって、無理に経費を増やす必要はありません。
経費を使えば税負担が軽くなることはありますが、その一方で会社の手元からはお金が出ていきます。
だからこそ、支出を判断するときには、
「これで税金がいくら減るか」ではなく、
「この支出は会社にとって本当に必要か」
という視点を持つことが大切です。
まずは今期の利益を把握し、納税額の見込みと手元資金を確認する。そのうえで、事業の成長や業務改善につながる必要な支出を検討する。
会社にお金を残しながら、必要なところにはしっかり使う。
このバランスを考えることが、安定した経営につながります。
「今期は利益が出そうだけれど、何か対策をした方がいい?」
「どのくらい納税資金を残しておけばいい?」
「設備投資を今期にするべきか迷っている」
といった場合には、かさまつ会計事務所までお気軽にご相談ください。
現在の利益や資金状況を確認しながら、今後の経営も見据えて一緒に整理していきます。
コメント
COMMENT